足音


元気な人は 足音まで元気だ



カーテンに囲まれたベットの中で
部屋を歩く人の足音を聞きながらそう思った



元気な人は 空気をも切る



歩む度に 空気が揺れ 前に進む様子がわかる

勢いがある
生命の力強さが

それは眩しい程の憧れ
そして 希望



ゆっくりと体を動かし向きを変え 震える足で地面へと降り立つ
生命力に比例して その力は弱い


一人では 歩けない
誰かの力が必要だ
今まで誰かに貸していた手を 今度は貸してもらう人に差し出す
しっかりと握られた手に安心し 私は顔を上げる



生きている

―― その事が嬉しい

ありがとう

―― 私は 多くの人の力で生かされている


薬一つも シーツ一枚も
最初から 完成した形でそこにあったわけじゃない
多くの関わりの中で 最適で快適なものとしてここにあるのだ


ありがとう 


今はまだ震える足元
足音も 微かだ


でも この足で歩いていこう


いつか青空の下




希望を胸に 高く足音を鳴らしながら




(「ペンギンフェスタ2012」参加作品 テーマ「再生」)
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